10月1日、お酒の税金が変わりました。
ビールは減税、第3のビール(新ジャンル)と発泡酒、缶チューハイは増税です。350ml缶1本あたり、消費税を含めてビールは約10円安く、第3のビールとチューハイは約8円高くなる計算です。
これは2017年度に決まった酒税の見直しの、最後の段階です。2020年から3回に分けて進めてきた「ビール系のお酒の税金をそろえる」が、今回で完了しました。帝国データバンクの調査では、10月の食品の値上げは3,033品目の見通しで(8月31日時点)、お酒もその中に入っています。
毎日1本、第3のビールを飲む人なら、年に約2,900円。小さく見えますが、何を選べばいちばん家計にやさしいのか、数字で整理しました。
- 350ml缶1本の酒税は、ビール−9.10円、第3のビール・発泡酒+7.26円、チューハイ+7円
- ビールと第3のビールの税金の差は、2019年の49円から0円になった
- 毎日1本なら、第3のビールは年+約2,900円、ビールは年−約3,650円
- 金麦がビールになった理由と、それでも値段の差が残る理由
- いちばん効く節約は「乗り換え」ではなく「本数」
先に結論|350ml缶1本で、税金はこう変わった

| 350ml缶1本 | 9月まで | 10月から | 消費税込みの差 |
|---|---|---|---|
| ビール | 63.35円 | 54.25円 | 約10円安く |
| 発泡酒・第3のビール | 46.99円 | 54.25円 | 約8円高く |
| 缶チューハイ・サワーなど | 28円 | 35円 | 約8円高く |
※国税庁・財務省の資料の酒税額。消費税込みの差は、酒税の差に10%をかけた当ブログの計算。実際の店頭価格は、メーカーとお店が決めます
国税庁の案内によると、1リットルあたりでビールは26円の引き下げ、発泡酒(麦芽比率25%未満)と第3のビールは約21円、缶チューハイなど(アルコール分10度未満)は20円の引き上げです。9%の「ストロング系」も10度未満なので、同じく1本7円上がります。
酒税はお酒の値段の中に入っていて、その上に消費税10%がかかります。だから店頭での影響は、酒税の差より1割大きくなります。
なぜ変わったのか|2020年から3段階で「そろえた」

財務省の資料では、目的は「似たお酒の間の税率の差が、商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、税負担の公平性を回復する」こと。税収は増やさず(税収中立)、ビールを下げて第3のビールを上げる形で、3回に分けて進めてきました。
| 350ml缶1本 | 〜2020年9月 | 2020年10月 | 2023年10月 | 2026年10月 |
|---|---|---|---|---|
| ビール | 77円 | 70円 | 63.35円 | 54.25円 |
| 発泡酒 | 46.99円 | 46.99円 | 46.99円 | 54.25円 |
| 第3のビール | 28円 | 37.8円 | 46.99円 | 54.25円 |
| ビールとの差 | 49円 | 32.2円 | 16.36円 | 0円 |
| 缶チューハイなど | 28円 | 28円 | 28円 | 35円 |
※財務省「酒税改正(平成29年度改正)について」より。発泡酒は麦芽比率25%未満のもの。日本酒とワインは、2023年10月に1キロリットル10万円でそろいました。
第3のビールの税金は、6年で28円から54.25円へ、ほぼ2倍になりました。一方で、ビールは77円から54.25円へ約3割下がっています。「安いから第3のビール」を支えていた税金の差は、なくなりました。
家計への影響|毎日1本なら、年にいくら?

1本あたりの差を、よくある飲み方に当てはめました(消費税込み)。
| 飲み方 | 1年間の差 |
|---|---|
| 第3のビール 350ml を毎日1本 | 約2,900円増 |
| 第3のビール 350ml を夫婦で毎日1本ずつ | 約5,800円増 |
| 第3のビール 350ml を週末に6缶(年312本) | 約2,500円増 |
| 第3のビール 500ml を毎日1本 | 約4,200円増 |
| 缶チューハイ 350ml を毎日1本 | 約2,800円増 |
| ビール 350ml を毎日1本 | 約3,650円減 |
※酒税の差×1.1(消費税)×本数。メーカーが増税分以上に値上げした場合などは、この額と変わります。
毎日飲む家庭でも、変わるのは月に200〜500円くらいです。10月の値上げの記事で書いた食品と光熱費の負担(月約3,700円)と比べると、お酒の税金は大きな話ではありません。
金麦がビールに。それでも「値段の差」は残る
税金の差がなくなったことで、メーカーも動きました。サントリーは「金麦」を第3のビールからビールに変え、10月6日から売り出します。麦芽の比率を上げて、品目を「ビール」にしたものです。
ただ、サントリー自身が「酒税の税率が一本化されますが、一定の価格差が残ると見込んでいます」と書いています。税金がそろっても、麦芽の量や原料の違いで、作るのにかかるお金の差は残るからです。希望小売価格は決められていないので、実際の値段はお店で比べるしかありません。
つまり、10月からの選び方はシンプルです。
- 税金は、ビールも第3のビールも同じ
- だから比べるのは、お店での1本あたりの値段だけ
- 差が数十円なら、好きなほうを選んでいい
「税金が安いから我慢して第3のビール」という理由は、もうありません。
いちばん効く節約は「乗り換え」より「本数」

税金で上がるのは、毎日1本で年約2,900円。これに対して、たとえば1本160円のお酒を週に1本減らすだけで、年8,320円浮きます。増税分の約3倍です。
お酒の値段は、自分では決められません。でも、1週間に何本飲むかは自分で決められます。固定費の見直しと同じで、効くのは単価より回数です。
本数を考えるときは、厚生労働省の飲酒ガイドラインの「純アルコール量」がものさしになります。
350ml・5%のビール … 14g
350ml・9%のストロング系チューハイ … 25.2g
500ml・9%のストロング系チューハイ … 36g
生活習慣病のリスクを高める量は、1日あたり男性40g以上、女性20g以上(厚生労働省)
500mlのストロング系を1本飲むと、女性の目安はそれだけで超えます。お財布と体、両方の話として、本数を一度数えてみる価値はあると思います。
よくある質問
日本酒やワインは変わりましたか?
今回は変わっていません。日本酒とワインは、2023年10月に1キロリットル10万円でそろっています(財務省)。
居酒屋の生ビールも安くなりますか?
樽の生ビールも「ビール」なので、酒税は1リットルあたり26円下がりました。中ジョッキ(約435ml)なら、理屈の上では1杯約11円です。ただ、お店の値段はお店が決めるので、そのまま下がるとは限りません。
ノンアルコールビールは?
アルコール分1度未満の飲み物は、酒税法の「酒類」に入りません。ノンアルコールビールには、もともと酒税がかからないので、今回の改正とは関係ありません。
9月中に買いだめすればよかった?
第3のビールを毎日1本なら、1か月分の差は約240円です。置き場所と、飲みすぎのほうが気になる金額です。2017年度に決まった見直しは、今回が最後の段階です。
10月から・来年から変わる、ほかのお金のこと
10月1日は、お酒のほかにもお金のルールが変わっています。来年に向けて動き出したものもあります。
- 65歳以降に働く人の年金:働いた分が10月分から上乗せ(60歳から働く記事)
- パートの社会保険:106万円の壁がなくなり、基準が「週20時間」に(106万円の壁の記事)
- スキマバイト:年末まで残り3か月。立場ごとの税金の線はスキマバイトの税金の記事に
- 住民税がかからない年収:2026年に働いた分から、給与の線が110万円→119万円に(住民税非課税の記事)
正直に言うと
今回の改正は、国から見れば「税収を変えずに、ビール系の税金をそろえた」だけです。ビールを飲む人は得をして、第3のビールやチューハイを飲む人は少し損をする。家計全体で見れば、差は月に数百円です。
それでも、この改正でひとつはっきりしたことがあります。「安い理由」が税金だった商品は、税金が変わると安くなくなるということです。2019年まで、ビールと第3のビールの税金は1本49円も違いました。安さの大きな部分は、この差だったわけです。
だから私なら、銘柄の乗り換えで数円を追いかけるより、1週間の本数を1本決めて減らします。値段が上がり続けるものほど、量で調整するほうが、効き目が大きくて長く続きます。生活費を上げない記事で書いたとおり、毎月の小さな出費は、何年も続くことで大きな差になります。
今日やること
ひとつだけです。
先月のレシートかカード明細で、お酒を何本買ったか数えてください。
1か月の本数×8円が、10月からの増税分の目安です(ビールなら×10円が減税分)。そして、その本数から週に1本減らしたらいくら浮くかも、一緒に計算してみてください。増税分より、そちらの数字のほうがずっと大きいはずです。
まとめ
- 2026年10月1日、ビール系の酒税が350ml缶1本54.25円に一本化された
- ビールは9.10円の減税、発泡酒・第3のビールは7.26円の増税、缶チューハイなどは7円の増税(消費税込みでそれぞれ約10円・約8円・約7.7円)
- ビールと第3のビールの税の差は、2019年の49円から0円に
- 毎日1本なら、第3のビールは年約2,900円増、ビールは年約3,650円減
- 金麦はビールに変わったが、原料の違いで値段の差は残る。比べるのはお店の1本あたりの値段
- いちばん効く節約は本数。1本160円なら週1本減らすだけで年8,320円
お酒の税金は、もう銘柄を選ぶ理由になりません。選ぶのは、好きな1本と、飲む本数だけです。
※本記事は2026年9月時点の公表情報にもとづきます。酒税額は国税庁・財務省の資料によるもので、店頭価格はメーカーと販売店の判断で決まり、酒税の差どおりに動くとは限りません。1年間の差は、酒税の差に消費税10%をかけて本数をかけた当ブログの計算です。「1本160円」は計算のための仮の値段です。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。この記事は個別の助言ではありません。


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