9月の4,531品目という数字が大きすぎて、10月が霞んで見えます。でも、10月も十分に多いです。
4人家族で試算すると、ひと月あたり3,700円ほど家計が重くなります。ただし同じ10月に、最低賃金も上がります。
値上げのニュースは食品ばかりが取り上げられますが、家計に効くのは、報じられていないほうです。
- 10月に動くもの5つ(上がるものと、増えるもの)
- 食品値上げの本当の規模と、上がりやすいカテゴリ
- ニュースにならない光熱費の補助終了
- 家計はいくら重くなるのかの試算
- 9月中にやっておく3つ
2026年10月に、動くもの
まず全体を並べます。支出だけでなく、収入と制度も同時に変わる月です。

| 何が | どうなる |
|---|---|
| 食品 2,720品目 | 上がる(平均で15%ほどの値上げ幅) |
| 電気・ガス | 上がる(7〜9月使用分の補助が終了予定) |
| 加熱式たばこ | 上がる(4月に続く改定の見込み) |
| 最低賃金 | 増える(全国平均1,176円へ。10月から順次発効) |
| 社会保険の対象 | 広がる(106万円の壁が撤廃。従業員51人以上の職場) |
「10月は値上げの月」とだけ覚えていると、判断を間違えます。上がるものと増えるものが、同時に来るからです。
食品は2,720品目。ピークは9月でした

帝国データバンクの「食品主要195社」価格改定動向調査によると、月別の値上げ品目数はこうなっています。
| 月 | 品目数 |
|---|---|
| 7月 | 2,566品目 |
| 8月 | 2,311品目 |
| 9月 | 4,531品目(2026年で最多) |
| 10月 | 2,720品目 |
9月と比べれば減りますが、7月・8月より多いのが10月です。「山を越えた」わけではありません。
2026年は、1〜11月の判明分だけで18,347品目。2022年から5年連続で、年間1万品目を超えました。
上がりやすいのは、どのカテゴリか
2026年通年の内訳を見ると、偏りがはっきりしています。
| カテゴリ | 品目数(2026年通年) |
|---|---|
| 加工食品 | 6,667品目 |
| 調味料 | 5,197品目 |
| 酒類・飲料 | 3,274品目 |
| 菓子 | 1,219品目 |
加工食品と調味料で、全体の6割以上を占めます。
ここが厄介なところです。加工食品と調味料は、買う量を減らしにくい。しょうゆを半分にする、という調整はできません。値上げがそのまま家計に乗ります。
なぜ、止まらないのか
企業が挙げた理由は、複数回答でこうなっています。
- 原材料高……90.9%
- 物流費……65.8%
- 包装・資材……64.0%
- 中東情勢に由来するもの……27.8%
9割が原材料高です。これは企業努力でどうにかなる範囲を超えています。来年も続くと考えたほうが現実的です。
見落としやすいのは、光熱費のほうです
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

2026年7月から、電気・ガス料金への補助が再開されていました。金額はこうです。
| 使用月 | 電気 | ガス | 標準世帯の値引き額 |
|---|---|---|---|
| 7月・9月 | 3.5円/kWh | 14.0円/㎥ | 月1,330円 |
| 8月 | 4.5円/kWh | 18.0円/㎥ | 月1,710円 |
| 10月以降 | 未定(発表されていません) | ||
決まっているのは9月使用分までです。10月使用分から補助がなくなれば、単価が変わらなくても請求額は月1,330円上がります。
補助がなくなるだけなので、ニュースにならないんです。請求書を見て、はじめて気づくタイプの負担増です。
過去の傾向では、電力需要が増える冬(1〜3月)に再開されることが多いので、10月から12月の3か月だけ空白になる可能性があります。
家計は、いくら重くなるのか
数字を出します。4人家族・食費8万円・標準的な光熱費という前提での試算です。

| 食費(値上げ品目の影響で3%上がると) | +2,400円 |
| 光熱費(補助が終わると) | +1,330円 |
| ひと月あたり | +3,700円 |
年にすると44,000円ほどです。
食費の3%は控えめに置いています。値上げ幅の平均は15%ですが、買うもの全部が値上げ対象になるわけではないからです。加工食品と調味料を多く使う家庭では、もっと効きます。
同じ10月に、収入も上がります
ここを忘れないでください。
2026年度の最低賃金は、全国加重平均で1,176円。前年から55円(4.9%)の引き上げで、10月から順次発効します。
時給1,176円で週20時間働く人なら、月あたりおよそ4,700円の増加です。
先ほどの負担増が3,700円でしたから、計算上は、賃上げのほうが上回ります。
ただし、恩恵を受けられる人は限られます
ここが、この改定のいちばん正直な話です。
年金で暮らしている世帯。すでに時給1,300円で働いている人。月給制の正社員だけの家庭。こうした世帯には、値上げだけが来ます。
「賃上げが物価上昇を上回った」という報道を見ても、自分の家計が楽にならないのは、これが理由です。平均の話と、自分の家の話は別です。
さらに10月は、社会保険の適用拡大も重なります。従業員51人以上の職場で週20時間以上働く人は、新たに加入対象になり、手取りが減る可能性があります。
▶︎ 106万円の壁が10月に撤廃|最低賃金1,176円と同時に、基準が「時間」に変わります
9月中にやっておく3つ
10月に入ってからでは間に合わないものを、順番に書きます。
1. 電気とガスの契約を見直す
補助が消えると、会社ごとの単価差が、そのまま請求額の差になります。補助があるうちは差が埋まって見えていました。
切り替えは工事不要で、申し込みから反映まで2週間〜1か月かかります。今動けば、10月使用分に間に合う可能性があります。
▶︎ 電力会社の切り替え方2026年版|工事なし15分で電気代を下げる
2. 常温で長く置けるものだけ、買っておく
買いだめは、基本的にはおすすめしません。傷ませたら意味がないからです。
ただし調味料・乾物・トイレットペーパーのように、常温で長く置けて必ず使うものは例外です。10月に値上げされる品目リストが各社から出ているので、よく使う銘柄だけ確認しておくといいと思います。
3. 10月からの制度変更を確認する
勤務先の従業員数が51人以上かどうか。ここだけは確認しておいてください。10月から社会保険の対象になるかが、それで決まります。
あわせて、12月の年末調整でも税金の扱いが変わります。
▶︎ 扶養の壁が136万円に上がります|2026年の年末調整から、自分は178万円まで税金ゼロ
よくある質問
Q. 買いだめは、したほうがいいですか
常温で長期保存できて、必ず使うものだけにしてください。冷凍・生鮮の買いだめは、電気代と廃棄で元が取れないことが多いです。値上げ幅は平均15%ですが、1つ傷ませたら100%の損になります。
Q. 光熱費の補助は、本当に終わるのですか
2026年9月時点で、10月以降の発表はありません。「決まっていない」が正確です。ただし予算の裏づけがないまま10月を迎えれば、事実上そこで切れます。あるものとして家計を組まないほうが安全です。
Q. 値上げされないものはありますか
あります。米は前年の高値から落ち着いてきており、通信費も競争で下がる方向です。「全部が上がっている」という感覚は、正確ではありません。
正直に言うと
この4年、毎年同じことを言い続けている気がします。
2022年から5年連続で、年間1万品目の値上げ。もう「一時的なもの」という説明は成り立ちません。これが平常の状態です。
そのうえで、私なら節約の努力を、ここで止めます。
理由は単純で、努力の伸びしろが、値上げの速度に追いつかないからです。食費を月3,700円削るのは、かなりの労力がいります。それを毎年やり続けるのは、現実的ではありません。
代わりに見るのは、一度やれば毎月効き続けるものです。
電力会社。通信費。保険。サブスク。1回の手続きで、来年も再来年も効きます。今回の光熱費の話が、まさにそれです。補助が消えるかどうかは自分では決められませんが、契約先は自分で決められます。
そしてもうひとつ。収入側を1回でも見に行くことです。
最低賃金が上がっても、自分の時給が上がるとは限りません。でも10月は、時給の見直しを言い出しやすい月ではあります。全体が上がるタイミングだからです。
支出を3,700円削るより、時給を50円上げるほうが、たいていは早いです。
まとめ
- 食品2,720品目が値上げ(9月4,531品目に次ぐ規模)
- 上がりやすいのは加工食品と調味料(減らしにくいもの)
- 電気・ガスの補助は9月使用分まで。10月以降は未定
- 補助が切れると、標準世帯で月1,330円の負担増
- 4人家族の試算で月3,700円・年44,000円
- 最低賃金は1,176円へ。ただし恩恵は全員には届かない
やることは3つだけです。光熱費の契約を見直す。長く置けるものだけ買っておく。勤務先の人数を確認する。
全部、9月のうちにできます。
値上げ品目・補助金の内容・最低賃金の発効日は変わります。実際の金額は各社の公式発表と、お住まいの自治体の情報でご確認ください。
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