その保険、入った理由を覚えていますか。
社会人になりたての頃、勧められるまま契約した保険。結婚したとき「そろそろちゃんとしなきゃ」と増やした特約。気づけば毎月の保険料は1万円、2万円——年間にすれば24万円。内容を説明できないまま、お守りのように払い続けている人がとても多いのです。
固定費の見直しでスマホ代とサブスクを片づけた人へ。次はいよいよ固定費のラスボス、保険です。倒し方はシンプルで、「何のために・いくら必要か」を一度だけ計算すること。この記事では、その計算の道具を全部そろえます。
- 保険が必要なもの・いらないものを分ける、たった1つの基準
- みんなが既に入っている「国の保険」の中身(2026年の改正情報つき)
- 本当に必要な保険は実は3つだけ、という考え方
- 見直し対象になりやすい保険と、その理由
- 後悔しない見直し3ステップと注意点
結論:保険は「起きたら家計が破綻すること」にだけかける
保険の本質は、「めったに起きないけれど、起きたら貯金では払えない損失」にみんなでお金を出し合って備える仕組みです。ここから、必要・不要を分ける基準はひとつだけになります。

- 貯金で払えない損失(一家の働き手の死亡・家の全焼・事故の賠償金)→ 保険で備える
- 貯金で払える損失(数日の入院・家電の故障・小さなトラブル)→ 貯金で備える
「起きるかもしれないから不安」で入るのではなく、「起きたら破綻するか?」で判断する。この軸さえ持てば、保険選びの9割は終わっています。そしてこの判断の土台になるのが、生活防衛資金です。貯金という名の「自家製保険」が厚いほど、買うべき保険は減っていきます。
まず知る:あなたは既に「国の保険」に入っている
民間保険を考える前に、毎月の社会保険料で既に加入している保障を確認しましょう。ここを知らずに保険を買うのは、家にある調味料を確認せずに買い足すようなものです。
| 公的保障 | 内容 |
|---|---|
| 高額療養費制度 | 医療費の自己負担に月ごとの上限がある(例:年収370〜770万円なら月9万円前後) |
| 傷病手当金 | 会社員が病気で働けない間、給料の約3分の2を最長1年6ヶ月受け取れる |
| 遺族年金 | 働き手が亡くなったとき、子どものいる世帯には遺族基礎年金+遺族厚生年金が支給される |
| 障害年金 | 病気やケガで障害が残ったときの生活を支える |
・高額療養費制度は2026年8月から自己負担上限が引き上げられます(例:年収370〜770万円で月+5,700円。2027年8月には区分の細分化も予定)。長期療養者向けの年間上限が新設される一方、月々の負担は増える方向です
・遺族厚生年金は2028年4月から、子のない60歳未満の配偶者への給付が原則5年の有期給付へ段階的に移行します(救済の継続給付あり)
つまり「国があるから民間保険は全部ムダ」と言い切れる時代ではありません。公的保障を土台にしつつ、貯金と最小限の保険で補強する——これが2026年の現実的な答えです。
※制度の金額・時期は2026年7月時点の情報です。最新は厚生労働省・加入している健康保険組合の公式情報をご確認ください。
必要な保険は、実は3つだけ|という考え方
「貯金で払えない損失」に絞ると、多くの家庭で残る保険は次の3つです。
- 掛け捨ての死亡保険——子どもがいる家庭の働き手だけ。遺族年金で足りない分を、子どもが独立するまでの期間限定でかける(収入保障保険という形が合理的です)。独身・共働きで子なしなら、そもそも不要なことが多い
- 火災保険——賃貸でも持ち家でも。家の損失は貯金で払えません
- 自動車保険(対人・対物無制限)——車を持つなら。賠償金は億単位になり得ます
共通点は、どれも損失が数千万円〜億単位になり得ること。逆に言えば、それ以外の「数万〜数十万円で済む損失」は、生活防衛資金の守備範囲です。
見直し対象になりやすい2つ|正直に書きます
①貯蓄型保険(終身・養老・学資)|「保障」と「貯蓄」を混ぜない
「掛け捨てはもったいない。貯まる保険がお得」——直感に反しますが、これは多くの場合逆です。貯蓄型は保険料が高いわりに保障が薄く、途中解約すると元本割れしやすく、増え方も控えめ。保障は掛け捨てで安く買い、増やすのはNISAで——役割を分離したほうが、トータルでは有利になりやすい構造です。
②医療保険|「高額療養費+貯金」でどこまで守れるか
高額療養費制度がある日本では、月々の医療費自己負担には上限があります。生活防衛資金が数ヶ月分あれば、短期の入院は貯金で対応できる——これが医療保険を最小限にできる理屈です。
ただし、全員には当てはまりません。次の人は医療保障を残す・厚めにする判断も十分合理的です。
- 自営業・フリーランス——傷病手当金がないため、働けない期間の収入が途絶える
- 貯金がまだ薄い人——生活防衛資金が貯まるまでの「つなぎ」として
- 持病や家族歴に不安がある人——一度解約すると入り直せない場合があります
2026年8月の上限引き上げで、この「貯金でカバーする範囲」は少し広げて見積もる必要が出てきました。だからこそ、保険を切る前に生活防衛資金——順番を間違えないでください。
見直し3ステップ|1時間で終わります

- いまの保険を全部書き出す——保険証券を集めて「名前・月額・何が起きたらいくら出るか」を一覧に。ここで初めて全体像が見える人がほとんどです
- 「公的保障+貯金」で足りるかを確認——上の表と生活防衛資金を照らして、本当に穴があるかをチェック
- 足りない分だけ、掛け捨てで埋める——ネット系の保険は同じ保障でも保険料が安いことが多く、比較サイトで相場観をつかんでから選ぶと失敗しにくいです
浮いたお金は「未来の保障」に変わる
仮に月2万円の保険料が、見直しで月5,000円になったとします。差額は月1万5,000円、年間18万円。
これを先取り貯金やNISAの積立に回せば、10年で元本180万円。運用しながらなら、さらに育つ可能性があります。手厚すぎる保険を削って貯金と投資を厚くすることは、保障を捨てることではなく「自家製の保障」に置き換えること——ここがこの見直しの本質です。
正直な注意点|4つ
新しい保険の保障が始まる前に、古い保険を解約しないこと。順番は「新しい契約成立→古い解約」です。
②貯蓄型の解約は返戻金を確認してから
タイミングによっては元本割れします。損切りしてでも乗り換えるべきかは、残りの払込期間と返戻率を見て判断を。
③健康状態によっては入り直せない
持病ができてからでは新しい保険に入れないことがあります。解約は「新しい体制が整ってから」が鉄則。
④無料の保険相談は「仕組み」を知って使う
無料相談の多くは保険会社からの手数料で成り立っています。悪ではありませんが、提案には構造上の偏りがあり得る——それを知ったうえで、複数の意見を聞くのが賢い使い方です。
まとめ|お守りから、道具へ
- 基準はひとつ:「起きたら貯金で払えないこと」にだけ保険をかける
- 土台は公的保障+生活防衛資金。ただし2026年以降、公的保障は少し縮む方向——貯金の役割が増す
- 多くの家庭で必要なのは掛け捨て死亡保険(子育て世帯)・火災保険・自動車保険の3つ
- 保障は掛け捨て、増やすのはNISA。混ぜない
- 見直しは書き出す→照らす→埋めるの3ステップ。空白期間だけ作らない
保険は不安をなだめるお守りではなく、家計を守る道具です。道具なら、サイズが合っているか測り直せばいい。月2万円の「なんとなく」が月5,000円の「ちゃんと選んだ」に変わったとき、家計と気持ちの両方が軽くなります。
※本記事は一般的な考え方の整理であり、特定の保険商品の推奨・勧誘ではありません。保険の要否は家族構成・健康状態・貯蓄額・働き方によって異なります。最終的なご判断はご自身の状況に合わせて行ってください。


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