【上限3%に到達】奨学金の借り方・返し方2026年版|同じ384万円でも返済総額が112万円変わる

借りる額で30代が決まる 奨学金2026年版 第二種の利率が年3.000%で上限に到達 貯金・貯蓄

奨学金の話をするとき、多くの記事は「借りすぎに注意」で終わります。

でも、それでは何も決まりません。いくらまでなら大丈夫なのか、その根拠がないからです。

そこでこの記事は、日本学生支援機構(JASSO)が公表している数字だけを使って、「いくら借りるか」を決めるための材料を並べます。

先に、いちばん大事な事実を置きます。

2026年7月、第二種奨学金(利息あり)の利率が年3.000%に達しました。
これは制度上の上限です。2025年4月は1.612%でした。(利率固定方式・基本月額)

そして同じ384万円を借りても、利率次第で返済総額は112万円変わります。この記事では、その中身をぜんぶ開きます。

この記事でわかること

  • 奨学金の3種類と、いくら借りているかの平均
  • 利率が上限3%に到達したという2026年の異変
  • 同じ借入額でも返済総額が112万円変わる理由(JASSO公式の返還例)
  • 借りる前・借りるとき・返せなくなったとき、3つの分岐点
  • 返済がきつくなったときの制度と、使えなくなる条件
  • 親が今日できること

まず、奨学金は3種類あります

「奨学金」とひとことで言っても、中身はまったく別ものです。

種類 中身
給付型 返さなくていいお金。授業料・入学金の減免とセットで運用されています
第一種 貸与型で利息なし。借りた額だけを返します
第二種 貸与型で利息あり。上限は年3%。在学中は利息がつきません

そして実際の平均が、こうです。

  平均の借入総額 平均の返還期間
第一種(利息なし) 約208万円 約14年
第二種(利息あり) 約336万円 約17年

※日本学生支援機構(2026年)。あくまで平均であり、人により大きく異なります。

17年、という数字をもう一度見てください。

大学を卒業して22歳。そこから17年ということは、その子が39歳になる年までです。就職も、結婚も、出産も、住宅ローンも、ぜんぶこの17年の中に入ってきます。

だから奨学金は「学費の問題」ではなく、その子の30代の家計の問題なんです。

【2026年の異変】利率が、上限に到達しました

ここが、いま最も語られていない部分です。

第二種奨学金の利率(利率固定方式・基本月額)は、こう動いてきました。

貸与が終わった月 利率固定方式 利率見直し方式
2025年4月 1.612% 0.900%
2026年4月 2.722% 1.874%
2026年7月 3.000%(上限) 2.000%

※日本学生支援機構「貸与利率の推移」より。制度上の上限は年3%です。

第二種奨学金の利率の推移 2025年4月1.612%から2026年7月3.000%へ上限に到達

1年3ヶ月で、1.612%から3.000%へ。しかも3%は制度の天井なので、これ以上は上がりません——逆に言えば、上がりきったということです。

先日、楽天銀行の普通預金金利が上がった話を書きました。預ける側にとっては、うれしいニュースです。

ただ、同じ金利上昇は借りる側には逆風として届きます。住宅ローン金利も、奨学金の利率も、同じ流れの中にあります。

★利率は「借り終わる月」に決まります

奨学金の利率は、申し込んだ日ではなく「貸与が終わる月」に決まります。
つまり、いま高校3年生が申し込んでも、適用される利率が決まるのは4年後です。そのときの金利は、誰にも分かりません。

ここが住宅ローンと決定的に違うところです。住宅ローンは借りる時点で条件が決まりますが、奨学金は「借り終わってから」条件が決まる

だからこそ、金利が読めない時代には借りる額そのものを絞るのがいちばん確実な防御になります。

固定方式と見直し方式、どちらを選ぶか

  • 利率固定方式:貸与終了時の利率が、返し終わるまでずっと続く
  • 利率見直し方式:貸与終了時の利率を、おおむね5年ごとに見直す

見直し方式のほうが今は低く出ますが、その代わり将来上がる可能性があります。金利が上昇局面にある今は、「返済額を確定させたいか、変動を受け入れるか」という好みの問題になります。

正直に言うと、ここで悩む時間より、次の章の「いくら借りるか」を1万円下げるほうが、効果はずっと大きいです。

同じ384万円でも、返済総額が112万円変わります

ここからが本題です。パーセントの話を、金額に直します。

JASSOが公表している返還例(大学4年制・48か月)を、そのまま並べます。

借りる月額 借入総額 年0.5%なら 年3%なら
月5万円 240万円 約250万円 約302万円 約52万円
月8万円 384万円 約405万円 約517万円 約112万円
月12万円 576万円 約607万円 約775万円 約168万円

※日本学生支援機構「返還例(大学)」より作成。第二種・4年制48か月・定額返還方式。金額は概算表示にしています。

月8万円を4年間借りた場合の返済総額 年0.5%なら約405万円 年3%なら約517万円 差は112万円

月8万円を4年間借りると384万円。それを返すとき、利率0.5%なら約405万円、3%なら約517万円

差は112万円です。

毎月の返済額で見ると、16,855円と21,531円。月に約4,700円の差が、20年続きます。

社会人1年目の手取りを考えたとき、この4,700円は決して小さくありません。

そして、月額を1段下げると何が起きるか

同じ表をもう一度見てください。年3%の列だけを追いかけます。

  • 月12万円 → 返済総額 約775万円(月32,297円 × 20年)
  • 月8万円 → 返済総額 約517万円(月21,531円 × 20年)
  • 月5万円 → 返済総額 約302万円(月16,769円 × 15年)

月12万円を月8万円にするだけで、返済総額が約258万円減り、毎月の負担が約1万円軽くなります

金利の方式で悩むより、ここを1段下げるほうが、はるかに効きます。

奨学金の3つの分岐点 借りる前と借りるときと返せなくなったとき

分岐点①|借りる前|返さなくていいお金から確認する

順番があります。借りる話をする前に、返さなくていいお金を先に洗うこと。

給付型奨学金と、授業料の減免

住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯には、返さなくていい給付型奨学金と、授業料・入学金の減免があります。

「うちは対象じゃないと思う」で調べずに終わる人が、いちばん多いところです。世帯の状況は年ごとに変わりますし、対象範囲も広がってきています。

★2025年度から、多子世帯は所得制限なしになりました

子どもを3人以上扶養している世帯は、所得制限なしで授業料・入学金が一定額まで減免されます(2025年度開始)。

私立大学なら授業料 年最大70万円・入学金 最大26万円まで。所得制限はありませんが、資産の要件(3億円未満)はあります。

ここまでは、よく紹介されています。問題はこの先です。

対象になるのは「子ども3人以上を、同時に扶養している間」だけです。

上の子が卒業して扶養から外れると、下の子は対象から外れます。「3人きょうだいだから、下の子までずっと無償」ではありません。年齢差が大きいご家庭ほど、ここは必ず確認してください。

この一点を知らずに進学計画を立てると、下の子の学費だけ丸ごと見込み違いになります。教育費の全体像と合わせて、今の学年で確認しておいてください。

分岐点②|借りるとき|上限まで借りない

第二種は、大学なら月2万円から12万円まで、1万円単位で選べます。

ここで覚えておいてほしいのは、たったひとつです。

「借りられる額」は、「借りたほうがいい額」ではありません。

上限の12万円を4年間借りると576万円。年3%なら返済総額は約775万円で、毎月32,297円を20年です。

新卒の手取りが月20万円だとすると、手取りの16%が返済に消えます。そこに家賃と生活費が乗ります。

目安の決め方|「就職後の手取りの1割まで」

絶対の正解はありませんが、ひとつの目安として「返済月額が、就職後の手取りの1割を超えない」ラインを置いてみてください。

手取り20万円なら、返済は月2万円まで。年3%なら、借入は月7〜8万円あたりが上限という計算になります。

足りない分は、バイトや副収入、自宅通学、国公立という選択肢と組み合わせて埋めていく。全部を奨学金で埋めようとしないことが、いちばんの防御です。

見落としがちな話|機関保証を選ぶと、手元に届く額が減ります

奨学金には保証制度があり、人的保証(親族に連帯保証人になってもらう)機関保証(保証機関に保証してもらう)のどちらかを選びます。

機関保証を選ぶと保証料がかかり、これは毎月の貸与額から差し引かれます

つまり「月12万円借りる」と決めても、実際に振り込まれるのは12万円より少ない。ここを知らずに生活費を組むと、初月からずれます。

保証料の額は貸与月額・期間・利率などで変わるので、申し込み時に必ず確認してください。

分岐点③|返せなくなったとき|制度には「順番」と「期限」があります

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

返済が苦しくなったときに使える制度は、ちゃんとあります。ただし使える条件があります。

① 減額返還|毎月の額を減らす

減らせる割合 返還月額の 2/3・1/2・1/3・1/4 から選ぶ
収入の基準 給与所得者は年収400万円以下(扶養する子が2人なら500万円以下、3人以上なら600万円以下)
期間 1回の願い出につき12か月。通算15年(180か月)が限度
返済総額は 減りません。返還期間が延びるだけです
使える条件 願い出・審査の時点で延滞していないこと

最後の行が、この記事の核心です。

「払えないから、そのままにしておいた」——これをやると、助けてくれるはずの制度の入口が閉じます。

減額返還は、延滞していると願い出ができません。つまり制度は、延滞する前にしか使えないということです。

② 返還期限猶予|いったん止めてもらう

  • 給与所得者なら年収300万円以下(給与以外の所得を含む場合は所得200万円以下)が目安
  • 適用期間は通算10年(120か月)が限度
  • 免除ではありません。元金も利息も、先送りされるだけです

減額返還と違い、すでに延滞している場合の申請手続きも用意されています。ただし先に延滞してから動くより、延滞する前に動くほうが選べる道が広いのは間違いありません。

減額返還と返還期限猶予の比較 延滞していると減額返還は使えない

③ 延滞すると、どうなるか

正直に書きます。

機関保証を選んでいて延滞が続くと、保証機関が本人に代わってJASSOへ立て替えます。そのあと保証機関から、立て替えた額を一括で請求されます

毎月2万円が払えなくて延滞したのに、ある日「残り300万円を一括で」と言われる——これが、いちばん避けたい着地です。

だから繰り返します。払えないと思った時点で、延滞する前に相談してください。

親が、今日できること

奨学金を借りるのは子どもです。でも、いくら借りるかを実質的に決めているのは、たいてい親です。

18歳の子に「月32,297円を20年」がどういう重さか想像しろというのは、正直、無理があります。

だから、そこは大人の仕事になります。今日できることは3つです。

  1. 返さなくていいお金を先に調べる(給付型・授業料減免・多子世帯の要件)
  2. 借りる月額を、上限からではなく「返せる額」から逆算する
  3. 返済が始まったあとの制度を、先に知っておく(減額返還は延滞前しか使えない)

そしてもうひとつ。今からでも間に合う準備があります。

大学入学までにまだ年数があるなら、先取り貯金で入学時の一時金だけでも積んでおくと、借りる月額をそのまま下げられます。月1万円借りるのをやめるだけで、4年で48万円、返済総額なら約65万円減ります(年3%の場合)。

教育費の全体設計は教育費はいくら必要?に、家計の土台づくりは家計管理のやり方にまとめてあります。

正直な注意点

この記事は「奨学金を借りるな」という話ではありません。

お金を理由に進学をあきらめることのほうが、はるかに大きな損失です。奨学金は、それを防ぐための制度として確かに機能しています。伝えたいのは「借りるなら、額と出口を決めてから借りよう」ということだけです。

もうひとつ。教育費のために、老後資金を取り崩さないでください。

教育費には奨学金という制度がありますが、老後資金を借りる制度はありません。順番を間違えると、子どもが「親の老後」を背負うことになります。

よくある質問

Q. 第一種と第二種、両方借りられますか?

併用できる場合があります。ただし当然、返す額も合算されます。まず第一種(利息なし)を確保し、足りない分だけ第二種で補う——という順番が基本です。

Q. 途中で借りる額を減らせますか?

貸与中に月額を変更する手続きがあります。「思ったより仕送りで足りた」という年は、迷わず減らしてください。減らした分は、そのまま利息ごと消えます。

Q. 繰上返還はしたほうがいいですか?

第二種(利息あり)で利率が高いなら、繰上返還の効果は大きくなります。ただし手元の生活防衛資金を削ってまで返すのは危険です。返済は待ってもらえますが、生活は待ってくれません。

Q. 会社が返済を助けてくれる制度があると聞きました

企業が従業員に代わって、JASSOへ直接返済する「代理返還」の仕組みがあります。導入企業は増えているので、就職活動のときに福利厚生欄を見ておく価値があります。

Q. 社会人が学び直す場合は?

そちらは奨学金ではなく教育訓練給付金の出番です。学費の最大70%が戻ってきます。また会社を辞めて学ぶ場合は、失業したらもらえるお金との組み合わせも確認してください。

たこ先生の、正直な話

私がこの記事で、いちばん驚いた数字があります。

減額返還は、延滞していると使えない。

よく考えれば当たり前の設計です。でも実際に困っている人の順番は、たいていこうなります。

払えない → とりあえず放っておく → 督促が来る → 開けられなくなる → 気づいたら延滞が半年。

そして、そこで初めて制度を調べる。もう使えない。

制度は、いちばん困っている人に届きにくい形をしていることがあります。だから困る前に知っておくしかない。この記事を書いたのは、それが理由です。

もし今、返済がきついと感じている方がいたら、今日のうちにJASSOに連絡してください。まだ延滞していないなら、選べる道が残っています。

まとめ|借りる額は、返す人の30代で決まる

この記事の要点

  • 平均は第一種208万円・14年/第二種336万円・17年。返し終わるのは39歳ごろ
  • 第二種の利率は2026年7月に上限の3.000%へ到達(2025年4月は1.612%)
  • 利率は「借り終わる月」に決まるので、4年後の条件は誰にも分からない
  • 同じ384万円でも、0.5%と3%で返済総額が112万円変わる
  • 借りる前=返さなくていいお金から。多子世帯無償化は「3人を同時に扶養している間」だけ
  • 借りるとき=上限から選ばず、就職後の手取りの1割から逆算する
  • 返せなくなったら=減額返還は延滞していると使えない。動くなら延滞する前に

金利のニュースは、預ける側の話ばかりが目立ちます。でも同じ上昇は、これから借りる家庭にも静かに届いています。

いま高校生のお子さんがいるご家庭にとって、この1年の変化はその子の30代の手取りに直結する変化です。

難しいことをする必要はありません。借りる額を、1万円単位で真剣に決める。それだけで、20年後がずいぶん変わります。

※本記事は2026年8月11日時点の公表情報にもとづく解説であり、特定の制度・商品の利用を推奨するものではありません。利率・支援制度の内容・収入基準等は変更されることがあります。返還例の金額は日本学生支援機構の公表資料をもとにした概算表示です。ご自身の適用条件については、日本学生支援機構、進学先の学校、文部科学省の公式情報を必ずご確認ください。

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