来月、また上がります。
しかも8月の値上げは、1回あたり平均15%。(帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査)
この記事で、いちばん伝えたいことを先に書きます。
この規模は、がんばる節約で吸収できる量ではありません。
電気をこまめに消しても、特売を探して歩いても、追いつきません。努力の量ではなく、家計の構造のほうを変える必要があります。
- 2026年の値上げの正確な規模(月別・年間)
- なぜ今年も止まらないのか(理由は中東にもあります)
- 15%の値上げが、家計にいくら効くのか
- 節約ではなく3つの方向で守るという考え方
- やってはいけない、逆効果の対応
まず、規模を正確に知る
帝国データバンクが、食品主要195社を対象に毎月調べている数字です。
| 時期 | 値上げ品目数 |
|---|---|
| 2026年8月 | 2,311品目 |
| 2026年9月 | 4,531品目(年内最多) |
| 2026年10月 | 2,720品目 |
| 2026年の累計 (1〜11月の判明分) |
18,347品目 |
※帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年7月31日公表)より。

そして、ここが重要です。
つまり値上げは「一時的な出来事」ではなく、もう毎年くり返される前提になっているということです。
「そのうち落ち着くだろう」と待つ戦略は、5年間ずっと外れ続けています。
なぜ、今年も止まらないのか
同じ調査で、値上げの要因が出ています(複数回答)。
| 要因 | 割合 |
|---|---|
| 原材料高 | 90.9% |
| 物流費 | 65.8% |
| 包装・資材 | 64.0% |
| 中東情勢 | 27.8% |

注目したいのは、いちばん下です。中東情勢が27.8%。
調査では、こう説明されています。中東地域の地政学的リスクと、ホルムズ海峡の混乱に端を発した国内の石油製品の供給不安が、食料品にも表面化してきた——と。
石油が上がると、輸送費が上がり、包装資材が上がり、最後に食卓の値段が上がる。遠いニュースが、数ヶ月遅れでスーパーの棚に届いているということです。
ここが厄介なところで、私たちの努力ではどうにもならない要因が半分以上を占めています。だからこそ、対応の方向を変える必要があります。
「値段は同じなのに、減っている気がする」
——その感覚、正しいです。
値上げには2種類あります。価格そのものを上げるものと、価格を据え置いて内容量を減らすものです。後者はよく「実質値上げ」と呼ばれます。
つまり4,531品目のなかには、「棚の値札は変わっていないのに、中身が減っている商品」も入っているということです。
だからレシートの合計だけを見ていると、値上げに気づけません。同じ金額で同じ品数を買っているのに、なぜか早くなくなる。あの感覚の正体がこれです。
対策はシンプルで、ときどき「100gあたりいくらか」で見るだけ。すべての買い物でやる必要はありません。よく買う定番品を3つほど、たまに確認すれば十分です。
15%の値上げは、家計にいくら効くのか
「平均15%」と聞いても、実感が湧きません。金額にします。
| いまの食費 | 15%上がると(月) | 年間では |
|---|---|---|
| 月4万円 | +6,000円 | +72,000円 |
| 月6万円 | +9,000円 | +108,000円 |
| 月8万円 | +12,000円 | +144,000円 |
※すべての品目が同時に15%上がるわけではないので、あくまで規模感をつかむための試算です。

食費6万円のご家庭で、年10万円以上。
この額を「特売を探す」「電気をこまめに消す」で埋めようとすると、どうなるか。以前の記事で書いたとおり、労力ばかりかかって、届きません。
でも、がんばる節約でひねり出せるのは月に数千円。しかも続きません。そして続かなかった自分を責めて、家計から目をそらすようになる——これがいちばん危ない流れです。
だから、3つの方向で守ります
値上げに対して家計ができることは、じつは3つしかありません。順番も、この通りです。

① 固定費を下げる|一度で、ずっと効く
最優先はここです。理由は単純で、1回やれば毎月自動で効き続けるから。値上げは毎月来るので、対抗するなら毎月効くものでなければ意味がありません。
- スマホ(格安SIM)——大手からの乗り換えで年33,696円の差
- サブスク——5人に1人が使っていないものに払っています
- 保険——補償を削らず、会社を比べるだけで下がることがあります
- 電気——工事なしで切り替えられます
スマホだけで、食費値上げぶんの3分の1が消えます。これが「構造を変える」ということです。全体像は固定費の見直しにまとめてあります。
② 収入を、少しだけ増やす
次がここです。節約には下限がありますが、収入には上限がありません。
いきなり大きく稼ぐ必要はありません。月1万円で十分です。年12万円あれば、食費の値上げぶんはまるごと吸収できます。
③ お金にも、働いてもらう
そして最後がこれです。
物価が上がるということは、現金の価値が下がるということでもあります。銀行に置いたままのお金は、金額は減らなくても買えるものが減っていきます。
だから長期で使わないお金は、新NISAなどで物価の上昇に付き合わせる。これは値上げ時代の防御策でもあります。
③に飛ぶ前に、生活防衛資金が先です。値上げで家計が苦しいときに投資を始めると、いちばん下がったときに売る羽目になります。
食費だけは、我慢しないでください
値上げの記事で「食費を削りましょう」と書かれることがありますが、当ブログは反対の立場です。
食費を削ると、まず体調に出ます。そして家族の機嫌に出ます。安いものだけを買う生活は、しんどくて長続きしません。
やるなら削るのではなく、効く順番を変えることです。買い方の工夫だけで、我慢せずに下げられる余地があります。詳しくは食費の下げ方に書きました。
削っていいのは、我慢を伴わないところだけ。これは値上げの時代でも変わりません。
ただし、下がったものもあります
公平のために書いておきます。2026年は、値上げばかりの年ではありません。
| 下がったもの | 中身 |
|---|---|
| ガソリンの暫定税率 2025年12月31日に廃止 |
上乗せ分1リットル25.1円がなくなりました |
| 軽油の暫定税率 2026年4月1日に廃止 |
上乗せ分17.1円がなくなりました |
| 自動車の環境性能割 2026年3月31日に廃止 |
車を買うときの税がなくなりました |
とくにガソリンは約51年ぶりの廃止です。車に乗る方なら、年1万円前後の差になります。
ここで言いたいのは「だから大丈夫」ではありません。下がったものは意識しないと気づかないということです。
値上げのニュースは大きく報じられますが、下がった分は静かに通り過ぎます。そして浮いたお金は、意識しないと自動で消えます。浮いた分こそ、先取りで確保してください。
やってはいけない、逆効果の対応
保存がきくものを少し多めに、程度なら問題ありません。ただ食べきれずに捨てたら、値上げぶんより大きな損です。値上げのニュースが出るたびに買い込むのは、置き場所も圧迫します。
② 安いものを求めて、遠くの店へ行く。ガソリン代と時間を計算すると、たいてい赤字です。しかもガソリンも値上げの当事者です。
③ 守りの保険を、値上げ対策で削る。保険料を下げるのは正しいのですが、補償そのものを削るのは別の話です。事故や病気は、値上げとは関係なくやってきます。削るなら「会社を比べる」で下げてください。
④ 家計簿をつけるのをやめる。苦しいときほど見たくなくなります。でも見えない家計は、必ず悪いほうに転がります。細かくなくていいので、合計だけでも見続けてください。
よくある質問
Q. 値上げはいつまで続きますか?
正直に言って、分かりません。ただ調査開始から5年連続で年間1万品目を超えているという事実があります。「終わるのを待つ」より「続く前提で構造を変える」ほうが、確実に手元が楽になります。
Q. まず何から手をつければいいですか?
スマホ代です。金額が大きく、手続きが1回で終わり、我慢がゼロだからです。所要時間は1時間ほど。ここで浮いた分を実感すると、次に進みやすくなります。
Q. 収入を増やす余裕がありません
それなら①だけで大丈夫です。固定費の見直しは、時間も体力もほとんど使いません。①→②→③は「全部やる」ではなく「上から順に、できるところまで」という意味です。
Q. 現金で持っておくのが不安になってきました
不安になるのは自然ですが、全額を投資に回すのは危険です。生活費の3〜6ヶ月分は現金で持ち、それを超えた分だけを検討してください。現金は「増やす道具」ではなく「いつでも使える状態にしておく道具」です。
たこ先生の、正直な話
値上げのニュースを見るたびに、私も少し落ち込みます。
ただ、この記事を書きながら数字を並べてみて、あらためて思ったことがあります。
私たちがコントロールできることと、できないことが、はっきり分かれている。
原材料高も、物流費も、中東情勢も、こちらではどうにもできません。ニュースを見て心配しても、1円も変わらない。
でも、スマホの契約は変えられます。使っていないサブスクは止められます。使っていない口座は整理できます。そこは100%、自分の側にある。
以前、格安SIMを5年放置していた話を書きました。あのときも同じで、いちばん消耗したのは「損しているのに動かない自分」を抱えていた時間でした。
値上げは止められません。でも、こちらの構えは今日変えられます。それだけで、ニュースの見え方がずいぶん変わります。
まとめ|がんばるのではなく、構造を変える
- 2026年9月の食品値上げは4,531品目で年内最多。8月の平均値上げ率は15%
- 年間累計は18,347品目。5年連続で1万品目超=もう例外ではない
- 要因は原材料高90.9%・物流費65.8%・中東情勢27.8%。自力では動かせない
- 食費6万円なら、15%で年10万円以上の負担増
- この額はがんばる節約では埋まらない
- 順番は①固定費を下げる ②収入を少し増やす ③お金にも働いてもらう
- 食費は削らない。削るのは我慢を伴わないところだけ
値上げのニュースは、これからも定期的に流れます。そのたびに落ち込むか、それとも「うちはもう手を打ってある」と思えるか。
この差をつくるのは、意志の強さではありません。1回の手続きです。
今日いちばん効くのは、スマホの明細を開くこと。それだけで、9月の値上げのかなりの部分は相殺できます。
※本記事は2026年8月19日時点の公表情報にもとづく一般的な解説であり、特定の商品・サービスの利用を推奨するものではありません。値上げ品目数・値上げ率は帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年7月31日公表)によります。品目数は各社の公表状況により今後変動する可能性があります。試算はあくまで規模感をつかむためのものであり、実際の家計への影響は購入する品目により異なります。投資に関する記述は元本を保証するものではありません。



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