【辞める前に読む】失業したらもらえるお金2026年版|「辞め方」で受給日数が最大180日変わる

失業したときにもらえるお金 アイキャッチ 落ちても下に網がある セーフティネット キャリアアップ

「もう辞めたい」

そう思った夜に、まず開くのは転職サイトだと思います。

私もそうでした。求人を眺めて、少し気が晴れて、それで眠る。

でも——本当に最初に見るべきなのは、求人ではありません。

辞めたあと、国からいくら入ってくるのか。それを知らずに退職届を出すと、同じ会社を辞めるのに、受け取れる金額が数十万円から百万円単位で変わってしまうことがあります。

当ブログでは生活防衛資金は生活費の3〜6ヶ月分と書いてきました。でも、国のセーフティネット側の話を、まだ一度もしていませんでした。

今日はそこを埋めます。

この記事でわかること

  • 失業したときにもらえるお金、3つの正体
  • 2025年4月の改正で「1ヶ月」に短縮された給付制限のこと
  • ある準備をすると、給付制限がゼロになる話
  • 自己都合と会社都合で、受給日数が最大180日変わる理由
  • 働けないときの傷病手当金(失業保険とは別物です)
  • 手続きの流れと、辞める前にやっておく6つのこと
  • 見落としがちな3つの落とし穴(住民税・健康保険・年金)
  • 結局、生活防衛資金はいくら必要なのか

30秒でわかる、もらえるお金の全体像

制度 どんなとき ざっくりいくら
失業保険
(基本手当)
働ける・働きたいのに
仕事がないとき
前の賃金の50〜80%
90〜330日ぶん
傷病手当金 病気やケガで
働けないとき
給料の約3分の2
通算1年6ヶ月まで
再就職手当 失業保険を残して
早く再就職したとき
残り日数ぶんの
60%または70%
失業したときにもらえるお金3つ 失業保険と傷病手当金と再就職手当の全体像

この3つは、どれも自分で申請しないと1円も出ません。ここが今日いちばん覚えて帰ってほしいところです。

① 失業保険(基本手当)|いちばん大きな柱

もらえる条件

雇用保険に入っていた人が対象です。必要な加入期間は、辞め方で変わります。

辞め方 必要な加入期間
自己都合・定年など 離職前2年間に、通算12ヶ月以上
倒産・解雇など(会社都合) 離職前1年間に、通算6ヶ月以上

もうひとつ大事な条件があります。

「働ける状態で、働く意思があること」です。

だから、病気で動けない人・すぐに働く予定のない人は、この制度の対象外になります。そちらは②の傷病手当金の話になります。

いつからもらえる?|2025年4月に短縮されました

ここ、変わったばかりです。

まず全員に7日間の待期期間があります。これは会社都合でも自己都合でも同じ。

そのあと、自己都合で辞めた人には給付制限という追加の待ち時間がありました。

2025年4月1日から、自己都合退職の給付制限は「2ヶ月」→「1ヶ月」に短縮
※5年以内に3回以上、自己都合で離職している場合は3ヶ月

つまり自己都合で辞めても、手続きからおよそ1ヶ月半〜2ヶ月で最初の振り込みが来る計算になります。以前より1ヶ月早くなりました。

そして——給付制限をゼロにする方法があります

ここが、あまり知られていない部分です。

同じ2025年4月の改正で、こうなりました。

離職前1年以内に、または離職後に、自分で教育訓練を受けた場合
→ 給付制限は撤廃(待期7日だけで受給開始)

以前からハローワークの指示で職業訓練を受ければ給付制限は外れましたが、2025年4月からは「自分で選んで受けた教育訓練」でも認められるようになりました。

これは大きな変化です。

「辞めようかな」と思った時点で学びはじめておけば、1ヶ月分の待ち時間がまるごと消えるということですから。

教育訓練給付金の使い方はリスキリングの記事に詳しく書きました。学費が戻ってきて、しかも給付制限まで消えるなら、使わない手はありません。

いくらもらえる?

計算のもとになるのは、退職前6ヶ月の賃金です。

その1日あたりの額(賃金日額)の50〜80%が、1日にもらえる額(基本手当日額)になります。60〜64歳の場合は45〜80%です。

ここで、意外に思われるかもしれないポイントを2つ。

  • 賃金が低い人ほど、割合が高くなります(80%に近づく)。生活を守る制度なので、そういう設計です
  • 年齢ごとに上限額があります。だから高収入の人ほど「前の給料の◯割」という感覚は当てになりません

この上限額は毎年8月1日に改定されます。平均給与額や最低賃金の動きに合わせて見直される仕組みです。

※上限額・下限額は年度ごとに変わります。ご自身の額は、ハローワークで交付される「雇用保険受給資格者証」または厚生労働省の最新発表でご確認ください。

何日もらえる?|ここが今日の本題です

受け取れる日数を「所定給付日数」といいます。

まず、自己都合・定年などで辞めた場合。年齢に関係なく、加入期間だけで決まります。

雇用保険の加入期間 所定給付日数
10年未満 90日
10年以上20年未満 120日
20年以上 150日

20年勤めても150日、つまり5ヶ月ぶんです。

では、倒産・解雇などで辞めざるを得なかった場合(特定受給資格者)はどうか。

こちらは年齢と加入期間の組み合わせで決まり、最長330日まで伸びます。

たとえば、45歳以上60歳未満で加入20年以上の人の場合

・自己都合で辞めた → 150日
・会社都合で辞めた → 330日

その差、180日。半年ぶんです。

仮に1日7,000円だとすると、180日で126万円の差になります。

※日額は年齢・賃金によって決まり、毎年8月1日に改定されます。上の金額はあくまで考え方を示すための試算です。

自己都合150日と会社都合330日 所定給付日数の差は180日

同じ会社を、同じ日に辞めても——です。

「辞め方」は、思っているより自分で選べません

ここで正直なことを書きます。

会社都合にするかどうかは、基本的に自分では選べません。

実態に応じてハローワークが判断します。「会社都合にしてください」とお願いして通るものではありません。

ただし——自己都合に見えて、実は会社都合(またはそれに準じる扱い)になるケースがあります。

  • 残業が一定時間を超え続けていた
  • 賃金が大幅に下がった、または支払われなかった
  • 採用時の条件と、実際の仕事内容が大きく違った
  • ハラスメントを受けていた
  • 家族の介護や、本人の病気が理由でやむを得ず辞めた(特定理由離職者)

心当たりがあるなら、離職票を受け取ったあと、ハローワークで実態を伝えてください。離職票に書かれた理由がそのまま確定するわけではありません。

そのために大事なのが、辞める前に記録を残しておくことです。タイムカードの写し、給与明細、メールやチャットのやりとり。あとから集めるのは、かなり難しくなります。

② 傷病手当金|働けないときは、こちら

失業保険は「働ける人」のための制度でした。

では、病気やケガで働けないときは?

そのときは健康保険の傷病手当金です。失業保険とはまったく別の制度で、健康保険(協会けんぽや健保組合)から出ます。

項目 内容
いくら おおむね給料の3分の2
(直近12ヶ月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3)
いつまで 支給開始日から通算1年6ヶ月
条件 業務外の病気・ケガで働けず、連続3日の待期のあと4日目から

「通算」というのが大事です。

2022年1月から、途中で復職した期間はカウントされなくなりました。良くなったり悪くなったりを繰り返す病気でも、休んだ日を足して1年6ヶ月ぶん受け取れます。

退職しても、続けて受け取れることがあります

これは知らない人が多い部分です。

次の条件を満たすと、退職後も傷病手当金を受け取り続けられます

  • 退職日までに、健康保険の加入期間が継続して1年以上ある
  • 退職時に傷病手当金を受けている、または受けられる状態である

つまり「体調を崩して退職」でも、収入がいきなりゼロになるわけではないということです。

失業保険と傷病手当金は、同時にはもらえません

どちらも「働けない/働かない期間の生活を支える」制度なので、二重取りはできません。

そして、ここに落とし穴があります。

失業保険を受け取れる期間は原則、離職日の翌日から1年間です。療養で1年が過ぎてしまうと、権利が消えます。

それを防ぐのが受給期間の延長申請です。病気などで30日以上働けない状態が続く場合、最長4年まで延ばせます。

療養が先、就職活動はそのあと。この順番で受け取るために、延長申請は忘れないでください。

③ 再就職手当|早く決まった人へのボーナス

「失業保険を全部もらってから就職したほうが得なのでは?」

そう考える人は多いのですが、制度は逆のインセンティブになっています。

再就職したときの残り日数 もらえる割合
所定給付日数の3分の2以上が残っている 残り日数ぶんの70%
所定給付日数の3分の1以上が残っている 残り日数ぶんの60%

早く決めた人ほど、多く受け取れる設計です。

しかも再就職手当を受け取りながら、新しい会社の給料も入ってきます。「失業保険を使い切ってから」より、早く決めたほうが手元に残ることがほとんどです。

※2025年4月から「就業手当」は廃止されました。再就職手当の支給率(60%・70%)に変更はありません。

手続きの流れ|いつ、何をするのか

制度の中身がわかっても、実際の動き方がわからないと不安なままです。時系列で並べます。

時期 やること
退職後
10日〜2週間
会社から離職票が届くのを待ちます。これが来ないと何も始まりません。2週間たっても届かないときは、まず会社へ。それでも動かないならハローワークに相談してください
届いたら
すぐ
ハローワークで求職の申込みと受給資格の決定。ここから待期7日がスタートします。1日でも早く行くほど、1日早くお金が動きます
その後 雇用保険の説明会に参加。受給資格者証(または受給資格通知)を受け取ります
自己都合なら
+1ヶ月
給付制限の期間。教育訓練を受けていればここは無しです
原則4週間
ごと
失業認定日にハローワークへ。求職活動の実績を申告します。実績が足りないと、その回はもらえません
認定から
約1週間
指定した口座に振り込まれます

持っていくものは、離職票(1と2)・マイナンバーが確認できるもの・本人確認書類・本人名義の預金通帳やカードが基本です。写真が必要かどうかなどは手続き方法によって変わるので、行く前にお近くのハローワークで確認しておくと二度手間になりません。

求職活動の実績として認められるのは、求人への応募、ハローワークの職業相談、セミナーの受講などです。求人サイトを眺めただけでは実績になりません。必要な回数は認定期間や初回かどうかで変わるので、説明会でしっかり確認してください。

辞める前にやっておく、6つのこと

辞めたあとでは間に合わないものがあります。順番に並べました。

1. 住民税の年額を確認する
給与明細か、6月ごろに配られる決定通知書で。ここが最大の不意打ちです

2. 健康保険を2択で試算する
任意継続の保険料は会社の健保へ、国保は市区町村の窓口へ。任意継続は退職日の翌日から20日以内に手続きが必要なので、辞める前に調べておかないと選択肢自体が消えます

3. 固定費を下げておく
収入が減ってからでは動く気力が出ません。先に下げておくほうが確実です

4. 教育訓練を始めておく
給付制限がまるごと消える可能性があります。リスキリングの記事を参照

5. 記録を残す
残業時間・給与明細・やりとりの履歴。会社都合に該当する可能性があるなら、辞めたあとでは集められません

6. 雇用保険被保険者証の所在を確認する
会社が預かっている場合があります。加入期間の引き継ぎに使う大事な書類です

見落としがちな3つの落とし穴

ここからが、実際に辞めた人がつまずくところです。

退職後の落とし穴3つ 住民税と健康保険と国民年金
落とし穴① 住民税は、辞めたあとにやってくる

住民税は前年の所得に対してかかります。つまり収入がゼロになった年に、働いていた年の税金の請求が来ます。会社員のときは給料から天引きされていたので、この重さに初めて気づく人が多いところです。失業保険は非課税なので、そこから引かれることもありません。自分で払います。辞める前に、住民税の年額は必ず確認してください。

落とし穴② 健康保険は、2択で金額が大きく変わる

退職後の健康保険は、おもに任意継続(前の会社の健保を最大2年続ける。ただし会社負担がなくなるので保険料は原則2倍)か、国民健康保険の2択です。

そして——会社都合で辞めた人には、大きな軽減制度があります。雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者と認められ、離職時に65歳未満なら、国民健康保険料の計算で前年の給与所得を「100分の30」とみなしてくれます。離職日の翌日が属する月から、その年度の翌年度末まで。

これを知らずに任意継続を選ぶと、何十万円も損をすることがあります。両方の金額を出してから決めてください。国保のほうは、お住まいの市区町村の窓口で試算してもらえます。

落とし穴③ 国民年金は、放置せず「免除」を申請する

会社を辞めると、厚生年金から国民年金に切り替わります。ここで払えないからと放置するのがいちばん悪手です。未納は将来の年金額が減るうえ、障害年金などの保障も危うくなります。

失業した人には免除・納付猶予の特例があります。申請して認められれば、免除期間も年金の受給資格期間に算入され、一部は年金額にも反映されます。「払えない」と「申請して免除された」は、まったく別物です。

で、結局そこにいくら必要なの?

ここで、当ブログの本題に戻ります。

生活防衛資金は生活費の3〜6ヶ月分——そう書いてきました。

制度を知ったうえで、この数字をもう一度見てみます。

場面 現金でしのぐ必要がある期間
会社都合で退職 待期7日+認定を経て約1ヶ月
1〜2ヶ月ぶんあれば繋がる
自己都合で退職 待期7日+給付制限1ヶ月
2〜3ヶ月ぶんは欲しい
給付が終わっても決まらない 自己都合10年未満なら90日で終了
ここが本当の勝負どころ

結論はこうです。

3ヶ月分は「給付が始まるまでのつなぎ」。
6ヶ月分は「給付が終わっても慌てないための余白」。

3〜6ヶ月という幅には、ちゃんと意味があったわけです。

そして忘れてはいけないのが、失業保険は前の給料の全額ではないということ。5〜8割で、上限もあります。給付が出ていても、家計は必ず縮みます。

だから辞める前にやっておくと効くのは、貯金を増やすことより固定費を下げておくことです。毎月出ていく額が小さいほど、給付だけで暮らせる期間は長くなります。

正直な注意点

① 制度は「申請主義」です

ここまで書いたお金は、すべて自分で申請しないと出ません。誰も教えに来てくれません。会社が代わりにやってくれるのは離職票の発行までです。

② 金額の目安は、あくまで目安です

基本手当日額の上限は毎年8月1日に改定されますし、給付日数も年齢・加入期間・離職理由で細かく分かれます。この記事は全体像をつかむためのものです。ご自身の金額は必ずハローワークで確認してください。健康保険・年金・住民税は、お住まいの市区町村と加入している健康保険にご確認を。

③ 「もらえるから辞める」は、順番が逆です

失業保険は、次の仕事を見つけるまでの橋であって、収入源ではありません。90日は、思っているより一瞬で過ぎます。この記事は「辞めても大丈夫」と言うためではなく、「怖くて動けない」を減らすために書きました。辞めるかどうかは、診断記事求人票の読み方のほうで、落ち着いて考えてみてください。

よくある質問

Q. 失業保険をもらっている間、アルバイトはできますか?

できますが、必ず申告が必要です。働いた日数や収入によって、その日ぶんが減額されたり、支給が先送りになったりします。申告せずに働くと不正受給となり、受け取った額の返還に加えて追加の納付を求められます。隠すメリットは一切ありません。

Q. 退職前に転職先が決まっています。何かもらえますか?

失業していないので、失業保険は出ません。ただし雇用保険の加入期間は次の会社に引き継がれます(原則1年以内の再就職なら通算されます)。将来もらう日数に効いてくるので、雇用保険被保険者証は必ず保管しておいてください。

Q. 自己都合でも、すぐにお金が必要です。何かできますか?

この記事の前半で触れた教育訓練による給付制限の撤廃が、いちばん現実的な手です。辞めると決めた時点で動きはじめれば間に合います。詳しくはリスキリングの記事を。あわせて、会社都合に該当しないかもハローワークで相談してみてください。

Q. 失業保険に税金はかかりますか?

かかりません。失業給付は非課税です。ただし住民税は前年の所得に対して請求が来るので、「収入がないのに税金だけ来る」状態になります。落とし穴①のところです。

Q. 副業をしていた場合はどうなりますか?

副業の収入や稼働状況によって、失業と認められるかどうか、また減額されるかどうかが変わります。ここも必ず申告してください。副業まわりの税金は副業の税金の記事に、始め方は月1万円の記事にまとめています。

たこ先生の、正直な話

私が会社を辞めたとき、いちばん怖かったのは「無収入になること」ではありませんでした。

怖かったのは、何がどうなるのか分からないことです。

いつお金が入るのか。いくら入るのか。健康保険はどうなるのか。何ひとつ分からないまま、ただ「たぶん貯金が減っていく」という感覚だけがありました。

実際に調べてみたら、思っていたより制度はありました。同時に、思っていたより金額は少なく、期間も短かったです。

でも——数字にした瞬間、怖さは消えました。

分からないから怖いのであって、少ないから怖いのではなかったんです。だから今日は、金額の多い少ないより「全体像」を渡すつもりで書きました。

まとめ

  • 失業したときのお金は3つ:失業保険・傷病手当金・再就職手当。どれも申請しないと1円も出ません
  • 2025年4月から、自己都合の給付制限は1ヶ月に短縮(5年以内に3回以上の自己都合離職は3ヶ月)
  • 自分で教育訓練を受けていれば、給付制限は撤廃。辞めると決めた時点で動くと効きます
  • 受給日数は自己都合で90〜150日、会社都合なら最長330日。同じ人でも最大180日の差が出ます
  • 病気で働けないときは傷病手当金(給料の約2/3・通算1年6ヶ月)。退職後も続けられる場合があります
  • 失業保険の受給期間は原則1年。療養するなら受給期間の延長申請を忘れずに
  • 落とし穴は住民税・健康保険・国民年金の3つ。とくに会社都合なら国保が大幅に軽減されます
  • 生活防衛資金の3ヶ月分は「給付までのつなぎ」、6ヶ月分は「給付が終わっても慌てない余白」

辞めるかどうかを決めるのは、いつでもあなたです。

ただ、知らないまま決めるのだけは、もったいない。この記事が、その材料になれば嬉しいです。

※本記事は2026年7月時点で公表されている制度をもとに、一般的な情報としてまとめたものです。個別の受給可否・金額の判断は行えません。ご自身のケースは、ハローワーク、加入している健康保険、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

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