月曜の朝。通勤電車のなかで、ふと思うことがあります。
「みんな、いくら貯めてるんだろう」
そして検索して、「30代の平均貯蓄額は◯◯万円」という数字を見て——静かに、へこむ。そんな経験はありませんか。
正直に打ち明けると、私(たこ先生)もそうでした。平均額を見るたびに「自分は遅れている」と感じて、でも何をすればいいかは分からなくて、結局スマホを閉じる。その繰り返しでした。
今日はまず、その罪悪感を下ろすところから始めます。結論から言うと、平均額は見なくていいんです。
この記事では、最新データ(金融経済教育推進機構・2025年調査)をもとに「本当の真ん中」=中央値をお見せします。そのうえで、他人と比べるのではなく自分の目標額を「順番」で決める方法までお伝えします。
- なぜ「平均貯蓄額」を見てはいけないのか(数字のからくり)
- 年代別・世帯別の中央値一覧(単身/二人以上・2025年最新)
- 意外と知られていない「貯蓄ゼロ世帯」の割合
- 他人ではなく「順番」で目標額を決める4ステップ
- 貯金を増やす方法は、結局3つしかないという話
まず結論|「平均」は、あなたの目安になりません
ニュースや記事でよく見る「平均貯蓄額」。あの数字が実感とズレるのには、はっきりした理由があります。

10人の貯蓄額を並べてみます。
平均値 = 641万円(全員の合計 ÷ 10人)
中央値 = 125万円(順番に並べたときの、真ん中の人)
お金持ちが1人まざるだけで、平均は5倍に跳ね上がります。でも実際にその金額を持っている人は、10人中1人だけ。
つまり平均値は「みんなの姿」ではなく、一部の富裕層に引っ張られた数字なのです。
年代別・貯蓄額の中央値【2025年最新】
では実際のデータを見てみましょう。金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査」2025年の結果です。

単身世帯(ひとり暮らし)
| 年代 | 平均値 | 中央値 | 貯蓄ゼロの割合 |
|---|---|---|---|
| 20代 | 255万円 | 37万円 | 33.2% |
| 30代 | 501万円 | 100万円 | 32.3% |
| 40代 | 859万円 | 100万円 | 32.1% |
| 50代 | 999万円 | 120万円 | 35.2% |
| 60代 | 1,364万円 | 300万円 | 30.4% |
| 70代 | 1,489万円 | 500万円 | 20.4% |
注目してほしいのは50代です。平均は999万円なのに、中央値は120万円。その差、およそ8倍。
「50代で1,000万円が普通なんだ…」と落ち込む必要は、まったくないということです。
二人以上世帯(夫婦・子育て世帯)
| 年代 | 平均値 | 中央値 | 貯蓄ゼロの割合 |
|---|---|---|---|
| 20代 | 525万円 | 125万円 | 21.6% |
| 30代 | 1,096万円 | 311万円 | 17.6% |
| 40代 | 1,486万円 | 500万円 | 18.8% |
| 50代 | 1,908万円 | 700万円 | 18.2% |
| 60代 | 2,683万円 | 1,400万円 | 12.8% |
| 70代 | 2,416万円 | 1,178万円 | 10.9% |
※金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査」2025年より。金融資産には預貯金のほか株式・投資信託・保険なども含まれます(数値は調査対象・定義により変わります)。かつて金融広報中央委員会が実施していた調査が、2024年からJ-FLECに引き継がれています。
もうひとつの事実|「貯蓄ゼロ」は珍しくない
表のいちばん右の列、気づかれましたか。
おおよそ3人に1人が「金融資産ゼロ」
20代で33.2%、50代でも35.2%。これは決して少数派ではありません。
この数字を出したのは、安心してもらうためです。いま貯金がなくても、あなたは特別ではありません。そして——ここからが大事なのですが——特別ではないからこそ、今日から始めれば十分に間に合います。
もう平均額と比べるのは、やめましょう。比べるべき相手は去年の自分だけです。
じゃあ、いくら目指せばいい?|「順番」で決める
ここからが本題です。目標額は年代で決めるものではありません。あなたの生活で決まります。
と言われても困りますよね。なので、誰にでも当てはまる「順番」にしました。上から順に埋めていってください。

ステップ1|生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)
すべての土台です。病気・失業・家電の故障——予測できない出来事から生活を守るお金。
これがあるだけで、嫌な仕事を断れるし、焦って高いものを買わずに済みます。投資より先、保険より先。まずここです。いくら必要かは生活防衛資金の目安と貯め方で計算できます。
ステップ2|5年以内に使う予定のお金
車の買い替え、引っ越し、結婚式、子どもの入学。使う時期が決まっているお金は、投資に回してはいけません。
相場が下がったタイミングと重なると、必要なときに必要な額が用意できないからです。ここは現金でそのまま持つのが正解です。
ステップ3|それ以降のお金は、育てる
ステップ1と2が埋まって、まだ余裕があるなら。ここで初めて投資の出番です。
10年以上使う予定のないお金は、現金のまま置いておくと物価上昇に負けていきます。新NISAのような制度を使って、少しずつ育てる段階です。
※投資には元本割れのリスクがあります。ステップ1・2が埋まる前に始めるのはおすすめしません。
ステップ4|老後資金は「自分の額」で
ここも「2,000万円」といった平均の数字に振り回されないでください。必要額は人によってまったく違います。
老後資金づくりの制度としてはiDeCoが代表的です。ただし60歳まで引き出せないため、ステップ1・2を飛ばして始めるのは危険。順番を守ってください。
年代も年収も関係なく、いま自分がどのステップにいるかが分かること。「30代だから300万円必要」ではなく、「私はまだステップ1の途中」——そう捉えられれば、次にやることは明確です。
貯金を増やす方法は、3つしかない
順番が決まったら、あとは埋めるだけ。方法はシンプルで、この3つしかありません。
①支出を減らす(いちばん確実)
収入を増やすより速く、確実に効きます。とくに固定費——スマホ・保険・サブスク・電気——は一度見直せば、以後ずっと効き続けます。
毎日の節約より、月1回の見直しのほうがコスパは圧倒的に上です。
②収入を増やす
支出の削減には限界がありますが、収入には上限がありません。転職や副業、社内での昇給交渉。時間はかかりますが、効果は大きい方法です。
③仕組みで、勝手に貯める
そして、いちばん再現性が高いのがこれ。意志の力に頼らないことです。
給料が入った瞬間に、貯金用の口座へ自動で移す。残った分で暮らす。これだけで「余ったら貯金」より確実に貯まります。やり方は先取り貯金のやり方と銀行口座の使い分けにまとめました。
そして支出の把握は家計簿アプリに任せてしまいましょう。書く必要はありません。
正直な注意点
中央値は平均よりマシですが、あなたの目標にはなりません。家賃も家族構成も収入も違うのですから当然です。参考にとどめてください。
②「金融資産」には投資も含まれます
この調査の数字は預貯金だけでなく、株式・投資信託・保険なども含んだ額です。「預金だけで比べたら、もっと少ない」という点にご注意を。
③貯めることが目的になっていないか
お金は使うためにあります。極端な節約で健康や人間関係を削るのは本末転倒です。やってはいけない節約術もあわせてどうぞ。
④焦って一発逆転を狙わない
「遅れている」と感じたときほど、危ない話に引き寄せられます。順番を守って、地道に。これが結局いちばん速い道です。
まとめ|比べる相手は、去年の自分
- 平均値は見なくていい。一部の富裕層に引っ張られた数字です
- 見るなら中央値。単身50代は平均999万円に対し中央値120万円——差は約8倍
- ひとり暮らしの約3人に1人は金融資産ゼロ。あなたは特別ではありません
- 目標は年代でなく順番で決める:①生活防衛資金 ②5年以内に使うお金 ③育てる ④老後
- 増やす方法は①支出を減らす ②収入を増やす ③仕組みで自動化の3つだけ
データを見て安心してほしかったわけではありません。「遅れている」という思い込みを、いったん下ろしてほしかったんです。
その罪悪感がなくなると、不思議と手が動き始めます。今週は、口座の残高を確認するところからでも十分。比べる相手は、他人ではなく去年の自分です。
※本記事は2026年7月時点の公開情報にもとづく一般的な解説であり、特定の金融商品の購入や投資を推奨するものではありません。統計値は金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査」2025年によるものですが、調査は標本調査であり、対象・定義・回答方法により数値は変動します。最新かつ正確な数値は同機構の公表資料をご確認ください。投資は元本割れのリスクを伴います。


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