日本で純金融資産1億円以上を持つ世帯は、165.3万世帯あります(野村総合研究所の2023年推計)。2021年の148.5万世帯から、2年で11.3%増えました。
意外と、多いと思いませんか。
1万人を対象にした調査では、3人に1人が、一度も高収入だった年がないと答えています。
この記事では、米国で1万人の資産1億円超(100万ドル超)の人に行われた調査と、厚生労働省の統計から、4つの共通点を取り出します。
そのうち4つめは、今日から始められます。
- お金持ちの年収は、実は高くないという調査結果
- 到達までに平均何年かかっているか
- 資産を作った手段は、意外にも普通だった話
- 所得と健康の関係に2.7倍の差があるという国の統計
①年収が高いとは、限りません

米国の家計相談会社が、資産100万ドル超の人1万人に行った調査があります。そこで出てきた数字が、これです。
| 3人に1人 | キャリアで一度も、年10万ドルを稼いだ年がない |
| 31%だけ | キャリア平均で年10万ドルを超えていた |
| 93% | 「高い給料ではなく、努力で築いた」と回答 |
そして、いちばん驚いたのはここです。
エンジニア/会計士/教師/管理職/弁護士。高給で知られる職業ばかりではありません。
つまり、収入の大きさより、その使い方で差がついているということです。
年収1,000万円でも1,000万円使えば、残るのはゼロです。年収500万円で400万円しか使わなければ、毎年100万円ずつ増えます。当たり前のようですが、ここがすべてです。
②平均28年、かけています

同じ調査から、時間に関する数字です。
| 79% | 親からも親族からも、遺産を一切受け取っていない |
| 28年 | 働いて、貯めて、投資した期間の平均 |
| 49歳 | 到達したときの平均年齢 |
近道をした人は、ほとんどいませんでした。
8割が遺産をもらっていないというのは、希望のある数字だと思います。スタート地点は、そこまで決定的ではないということですから。
そして28年という数字も、実は前向きです。28年かければ届く、という意味でもあるからです。25歳で始めれば53歳。40歳からでも68歳です。
③仕組みで、積み立てています
では、その28年で何をしていたのか。
特別な投資でも、個別株の当たりでもありません。給料から自動で引かれる仕組みです。
米国でいう401(k)にあたるものは、日本なら新NISA・iDeCo・財形貯蓄です。仕組みは違いますが、役割は同じです。
ここで大事なのは、「意志の力を使っていない」という点です。
毎月「今月は投資しようかな」と考えていたら、28年は続きません。考えなくても引かれる状態にしたから、続いたんです。
▶︎ 新NISAで結局どれを買う?2026年版|オルカンの62.8%はアメリカでした
④健康に、お金と時間をかけています
ここからが、この記事でいちばん書きたかった部分です。

数字で見ると、はっきり出ています
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」に、世帯の所得別で生活習慣を比べたデータがあります。男性の数字です。
| 所得200万円未満 | 所得600万円以上 | |
|---|---|---|
| 健康診断を受けていない | 42.9% | 16.1% |
| 1日の歩数 | 6,263歩 | 7,592歩 |
| たばこを吸っている | 35.4% | 29.2% |
健診を受けていない人の割合に、2.7倍の差があります。歩数の差は1日1,329歩。歩く時間にすると、10分ちょっとです。
どちらが原因かは、断定できません
正直に書いておきます。これは所得と健康の相関であって、因果の方向までは言えません。
お金があるから健康でいられるのか、健康だから稼げているのか。おそらく両方向だと思います。
ただし、片方の向きだけは確実です。
なぜ健康が「資産」なのか
数字で考えると、はっきりします。
月30万円稼いでいる人が、病気で1年働けなくなったとします。失うのは360万円です。さらに治療費がかかります。
そして5年早く働けなくなれば、1,800万円。前回書いた老後資金の話でいえば、これは老後の必要額そのものに匹敵します。
▶︎ 老後2000万円問題、いまの数字は1,528万円です|9年ぶんの家計調査で計算し直しました
逆に、健康なまま5年長く働ければ、その1,800万円が入ってきます。投資の利回りで1,800万円を作るより、たぶん確実です。
もうひとつ見落とされがちなのが、判断力です。寝不足や体調不良のときに、まともなお金の判断ができた記憶は、たぶんないはずです。
4つに共通しているのは、意志に頼っていないことです
並べてみて、気づいたことがあります。
4つとも「頑張り続ける」タイプの話ではありません。
| 特徴 | 意志を使わずに済ませる方法 |
|---|---|
| 年収より支出 | 先に貯める分を引いて、残りで暮らす |
| 28年かける | 毎年判断せず、放っておく |
| 仕組みで積み立て | 給料から自動で引く |
| 健康を守る | 意識ではなく、予定に入れる |
健康も同じです。「運動しよう」と思っているうちは続きません。健診の予約を取る、通勤でひと駅歩くと決める。予定にしてしまえば、意志はいりません。
お金が貯まる人は、意志が強いのではなく、意志を使わなくていい状態を先に作っているのだと思います。
▶︎ 先取り貯金のやり方2026年版|自動で月5万円貯まる仕組みの作り方
4つのうち、今日からできるのは1つだけです

①の年収は、すぐには変えられません。②の28年は、待つしかありません。③の仕組みも、作るのに数日かかります。
でも④だけは、今日から動かせます。
- 歩く時間を10分増やす……お金はかかりません
- 健康診断を予約する……会社員なら無料、自治体の検診も数千円です
- 寝る時間を30分早める……これもタダです
4つのうち、唯一お金がかからないのに、いちばん効くのがこれです。
よくある質問
Q. 米国の調査を、日本にそのまま当てはめられますか
金額はそのままでは使えません。ただし「遺産に頼らず」「時間をかけ」「仕組みで積み立て」という構造は、制度が違っても共通だと考えています。日本にも新NISAとiDeCoがあります。
Q. 健康にお金をかけるって、具体的には何ですか
高額なサプリやジムではありません。健康診断・歯科検診・十分な睡眠・歩くこと。ほとんど無料か、数千円のものです。
特に歯科は見落とされがちですが、治療になってからでは費用も時間も跳ね上がります。
Q. もう40代です。間に合いますか
平均28年です。40歳からなら68歳。老後の入り口には間に合う計算になります。それに、この記事の4つめは年齢に関係なく効きます。
Q. 収入を増やすのと、支出を減らすのは、どちらが先ですか
支出です。減らした分は確実に残りますが、増えた収入は生活水準ごと上がってしまうことが多いからです。ただし削れる限界があるので、その先は収入側に手をつけます。
▶︎ 4つのFIRE、会社員が目指すならサイドFIRE一択です|月10万円の副業は3,000万円の資産と同じ
正直に言うと
この手の「お金持ちの特徴」という記事には、いつも少し警戒しています。
たいてい根拠がないからです。「早起きしている」「本を読んでいる」「靴を磨いている」。それらしいことは書けますが、数えた人はいません。
今回、数字のあるものだけに絞りました。それでも注意点はあります。
1万人の調査は米国の民間企業によるもので、学術研究ではありません。厚労省のデータは所得の話であって資産の話ではなく、しかも相関にすぎません。
そのうえで、私はこう考えています。
この4つのなかで、いちばん実行が簡単で、いちばん軽視されているのが健康です。
お金の記事を書いていると、利回りや節税の話ばかりになります。年0.5%の差を追いかけて、何時間も比較する。その時間で歩いたほうが、たぶん得なんです。
資産形成には、28年という時間が必要でした。その28年を走りきる体があること。それが前提条件です。
どんなに良い投資信託を選んでも、途中で働けなくなれば積立は止まります。
まとめ
- 年収が高いとは限らない……3人に1人は一度も高収入の年がない
- 平均28年かけている……79%は遺産を受け取っていない
- 仕組みで積み立てている……8割が勤務先の制度。日本なら新NISA・iDeCo
- 健康にお金と時間をかけている……健診の未受診率に2.7倍の差
今日できることは、ひとつだけです。健康診断を予約すること。
予約は5分で終わります。そして4つのうち、唯一その日のうちに前へ進められるのが、これです。
引用した調査は米国の民間企業によるもので、対象・定義が日本とは異なります。厚生労働省のデータは所得と生活習慣の相関を示すもので、因果関係を示すものではありません。健康に関する判断は、必ず医療機関にご相談ください。
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