来週の木曜日、9月18日。日銀の金融政策決定会合の結果が出ます。
市場は約9割の確率で利上げを織り込んでいます。政策金利は1.00%から1.25%へ。報道でも、その方向で調整に入ったと伝えられました。
利上げが家計に効いてくるまでには時間差があり、しかも項目ごとにバラバラだからです。ただし得と損の大きさは、20倍ほど違います。
この記事では、「いつ、どこに、いくら」を分解します。電卓で確かめられる数字だけで書きました。
- 政策金利が2年半でどこまで来たか
- 利上げが家計の5か所に、いつ届くか
- 預金の得と、ローンの負担の20倍という差
- それでも悪いニュースではない理由
- 9月18日までにやる3つ
2年半で、ここまで上がりました

| 時期 | 政策金利 |
|---|---|
| 2024年3月 | マイナス金利を解除 |
| 2024年7月 | 0.25% |
| 2025年1月 | 0.50% |
| 2025年12月 | 0.75% |
| 2026年6月 | 1.00%(現在) |
| 2026年9月18日 | 1.25%の見通し |
2024年3月にマイナス金利が解除されてから、2年半で1.25%。ずいぶん遠くまで来ました。
ただし念のため書いておくと、これはまだ決定事項ではありません。市場が9割方そう見ている、という段階です。
効いてくる時期は、バラバラです
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

その日から動くもの|為替
いちばん速いのは円です。すでに動き始めています。
利上げ観測が強まった9月上旬、ドル円は160円台から155円台まで、1週間で5円動きました。金利が上がる国の通貨は買われやすいからです。
▶︎ 円高になったら積立はやめるべき?|1週間で5円動きました。それでも答えは「続ける」です
数週間〜1か月で動くもの|預金の金利
各銀行が普通預金・定期預金の金利を見直します。過去の利上げでも、おおむね1か月以内に各行が動いてきました。
ただし上げ幅は銀行によってまったく違います。大手行とネット銀行では、すでに数倍の開きがあります。
▶︎ 普通預金がお得な銀行はどこ?2026年版|いちばん高いのは年1.00%です
10月に動くもの|住宅ローンの基準金利
変動金利の基準になるのは短期プライムレートです。これは政策金利に連動して、比較的すぐ動きます。
そして変動金利の見直しは、年2回(4月と10月)。10月の見直しでは4〜9月の短プラの動きが反映されます。
9月18日の利上げは、10月の見直しに間に合う可能性が高いということです。
最大5年後に動くもの|毎月の返済額
ここが多くの人の勘違いポイントです。
多くの銀行には5年ルールがあり、返済額の見直しは5年ごとです。変わるのは返済額の中身(元金と利息の割合)のほうです。
金額が同じでも、利息の割合が増えて、元金が減らなくなります。気づかないうちに、返済のペースだけが遅くなる。ここが怖いところです。
なおすべての銀行に5年ルールがあるわけではありません。一部のネット銀行は、毎月見直す仕組みになっています。ご自身の契約を確認してください。
▶︎ 住宅ローンの変動金利はどうなる?2026年版|5年ルールの落とし穴と返済額の試算
半年〜1年で動くもの|物価
いちばん遅く、いちばん大きく効くのがこれです。後で詳しく書きます。
得と損は、同じ大きさではありません
金利が0.25%上がったら、自分の家計はいくら動くのか。計算します。

預金がある人
100万円を預けていて、金利が0.25%上がったとします。
100万円 × 0.25% = 年2,500円。ここから税金(20.315%)が引かれて、手元に残るのは年1,992円です。
住宅ローンがある人
残高3,000万円、残り30年、金利0.60%が0.85%になったとします。
| 金利0.60%のとき | 月 91,079円 |
| 金利0.85%のとき | 月 94,439円 |
| 差 | 月 3,360円/年 40,317円 |
「金利が上がると預金が増えて嬉しい」とは、なかなか言えない差だと思います。
(繰り返しになりますが、5年ルールがある場合、この負担増はすぐには月々の支払いに現れません。見えないところで進みます。)
それでも、悪いニュースではありません
ここまで読むと暗い話に見えますが、私はそう思っていません。
いちばん大きいのは、5番目の物価だからです。
この数年、値上げが止まらない原因のひとつが円安でした。輸入品が高くなり、原材料が高くなり、それが食品の値段に乗ってきた。
金利が上がれば、円は買われやすくなります。円高が続けば、輸入品の値上げは止まる方向に働きます。
10月には食品2,720品目の値上げが控えています。そこにブレーキがかかるなら、年4万円のローン負担より大きい話になる家庭は多いはずです。
▶︎ 10月の値上げは食品2,720品目|光熱費の補助も終わり、家計は月3,700円重くなります
9月18日までに、やること3つ

1. ローンの「適用金利」と残高を見る
いま自分が何%で借りているか、即答できますか。意外と答えられない方が多いです。
ネットバンキングか、年に一度届く返済予定表で確認できます。5分で終わります。
2. 預金の置き場所を確認する
大手銀行の普通預金と、ネット銀行ではすでに差が開いています。利上げのあとは、その差がさらに広がります。
生活防衛資金のように「動かさないお金」ほど、置き場所の差が効いてきます。
3. 積立は、そのまま続ける
金利も為替も、積立をやめる理由にはなりません。
むしろ円高が進んでいる今は、同じ金額でより多く買える局面です。設定は変えないでください。
よくある質問
Q. いま固定金利に借り換えたほうがいいですか
単純には言えません。固定金利には、すでに将来の利上げ予想が織り込まれています。いま借り換えると、その分だけ高い金利を最初から払うことになります。
判断の目安は「返済額が2割増えても耐えられるか」。耐えられないなら、固定を検討する価値があります。
Q. 定期預金に移したほうがいいですか
これから金利が上がる局面では、長期の定期に固定するのは不利になりやすいです。上がる前の低い金利で縛られてしまうからです。
短めにするか、金利の高い普通預金に置いておくほうが、いまは動きやすいと思います。
Q. 利上げは、これからも続きますか
市場では年内にもう1回の追加利上げを織り込む見方もあります。ただし予想は予想です。2024年以降、日銀の動きは何度も市場の想定を外してきました。
Q. 何もしなくていいのですか
ローンを持っていないなら、実質的にはほぼ「何もしなくていい」が正解です。預金の置き場所だけ見ておけば十分です。
正直に言うと
金利の記事を書くとき、いつも困ることがあります。
「で、結局どうすればいいの」に対する答えが、たいてい「何もしなくていい」だからです。
それでは記事として弱いので、多くのメディアは借り換えを勧めたり、定期預金を勧めたりします。でも0.25%の動きで生活が変わる人は、そう多くありません。
年4万円は小さくない額です。でもそれは3,000万円のローンを持っている人の話で、しかも5年かけて少しずつ現れるものです。
そのうえで、私はこう考えています。
利上げは、日本経済が「値上げしても売れる」状態に戻ったサインでもあります。長く続いたデフレの逆の景色です。
もちろん賃金が追いついていない家庭も多くて、その人たちにとっては痛みが先に来ます。手放しでは喜べません。
ただ、金利がある世界のほうが、お金の置き場所で差がつく世界でもあります。預金がゼロ金利だった時代は、どこに置いても同じでした。いまは違います。
知っている人と、知らない人の差が開く。それが金利のある世界です。だから、こうして記事を書いています。
まとめ
- 政策金利は1.00% → 1.25%の見通し(市場は9割織り込み)
- 効く時期はバラバラ。円は当日、預金は1か月、ローンの基準金利は10月
- 毎月の返済額は、5年ルールで最大5年後まで変わらないことがある
- 預金100万円の得は年1,992円、ローン3,000万円の負担は年40,317円
- いちばん大きいのは物価。円高になれば値上げが止まる方向に効く
- やることは確認だけ。慌てて動く必要はない
今日できることは、ひとつです。自分のローンの適用金利を、調べておくこと。
数字を知っていれば、来週のニュースを見ても慌てません。知らないから、不安になるだけです。
利上げは決定事項ではなく、市場の見通しです。金融政策の結果は9月18日に公表されます。住宅ローンの金利・ルールは金融機関によって異なります。試算は一例であり、実際の金額はご自身の契約内容でご確認ください。
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